ユニットケアの原点
ユニットケアの原点は、介護が必要な状態になっても、その人らしい生活を営むことであり、介護施設においても高齢者一人ひとりの個性が尊重され、他の人との関係の中で尊厳を持って生活できることが重要です。ユニットケアを行う施設においては、入居者様にとってパブリック、セミパブリック、セミプライベート、プライベートのゾーニングを行い、リビングで他の入居者との交流を図りながらプライベートスペースも確保すること、ソフト面では、施設全体で一律の日課を設けないこと、集団的な流れ作業のように業務分担して処遇を行わず、個別ケアを行うことなどを踏まえながら、高齢者がその人らしく尊厳をもって生活を送れるようケアを行います。

固定職員の配置の影響
ユニットケアは、入居者様一人ひとりのニーズに応じたケアを提供するためのアプローチです。固定職員の配置は、ユニットケアを円滑に実施する上で重要な要素です。入居者様への影響や事故防止の面からのメリット・デメリットを具体的に説明します。
【メリット】
- 一貫したケアの提供: 固定職員が配置されることで、入居者様との関係が深まり、個々のニーズや状況を把握することが容易になります。これにより、一貫したケアを提供でき、入居者様の生活の質が向上します。
- 事故防止: 固定職員がいることで、入居者様の状態や変化をすぐに察知し、適切な対応が可能になります。これにより、転倒や誤嚥などの事故リスクが低減されるでしょう。
- コミュニケーションの向上: 固定職員が配置されることで、入居者様同士や職員とのコミュニケーションが円滑になります。これは、心身の健康にも良い影響を与えるでしょう。
- ストレス軽減: 固定職員がいることで、入居者様は安心感を得られ、ストレスが軽減されるでしょう。これは、認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。
【デメリット】
- 職員不足・過労: 固定職員の配置により、担当者が限られるため、職員不足や過労の問題が生じる可能性があります。これは、ケアの質の低下や職員の離職に繋がるリスクがあります。
- 費用増加: 固定職員の配置には、人件費がかかります。これにより、特別養護老人ホームの運営費が増加し、入居者様の金銭的な負担が上がる可能性があります。
総合的に見ると、固定職員の配置はユニットケアにおいて重要であり、入居者様への影響や事故防止の面で多くのメリットがある一方で、職員不足や過労、費用増加といったデメリットも存在します。

固定職員配置の具体的な施策
- 人員配置の最適化: 固定職員の配置だけでなく、非常勤やパートタイムのユニット固定職員を適切に活用することで、職員不足や過労を緩和することができます。
- 教育・研修の充実: 職員のスキルアップやチームワークの向上を目指すことで、ケアの質を維持しつつ、効率的に業務を遂行できるようになります。
- コミュニケーションの重視: 職員同士のコミュニケーションを重視し、情報共有や連携を強化することで、入居者様へのケアの質を向上させることができます。
- 費用対効果の検証: 固定職員の配置によるコスト増加を考慮しつつ、入居者様の生活の質や安全面の向上に対する効果を検証し、適切な人員配置を見直すことが重要です。
固定職員の配置は、特別養護老人ホームにおいてユニットケアを適切に実施するために重要ですが、その効果を最大限に引き出すためには、上記のような対策やアセスメントが求められます。これらの取り組みを通じて、入居者様の生活の質向上や事故防止を実現し、特別養護老人ホームでのユニットケアをより良いものにしていくことが望まれます。
このような個別ケアを実施するために行われる固定職員配置やスキルアップ研修は施設の経営者や管理者、各自治体の職員も含め、ユニットケアへの理解が欠かせません。この点は現場で奮闘する職員だけでなく施設運営者や行政とのコミュニケーションも大事な要素です。