入居者様の急変対応(嘔吐編)

ユニットケア

高齢者の嘔吐時の応急処置は、急な体調の変化や緊急を要する状況に迅速かつ適切に対応することが求められます。その方法を詳しく説明します。

  1. 安全確保:
  • 利用者を安全な位置(例えば、座ったままや横になった状態)に移動させる。
  • 嘔吐物で床が滑りやすくなっている場合は、転倒のリスクを避けるために注意する。
  1. 呼吸確保:
  • 嘔吐物が気道に入らないように注意し、頭を横に向けるか、うつぶせの姿勢にする。
  • 嘔吐物が口の中に残っている場合、柔らかい布やティッシュで優しく拭き取る。
  1. 意識の確認:
  • 利用者の意識レベルを確認する。反応がない、または意識が低下している場合は、緊急対応が必要。
  1. 症状の観察:
  • 嘔吐の色、質、量や他の症状(発熱、下痢、腹痛など)を確認する。
  1. 水分補給:
  • 嘔吐の後、しばらくは絶食するが脱水を避けるために少量ずつ水分を補給する。ただし、吐き気が続いている場合は、一時的に水分の摂取を控えることもある。
  1. 必要に応じて医療機関へ:
  • 嘔吐が続く、または他の重篤な症状が現れた場合、速やかに医療機関の受診を検討する。

注意点:

  • 高齢者は脱水症状を起こしやすいため、継続的な嘔吐がある場合は特に注意が必要。
  • 嘔吐に続いて意識障害や呼吸困難が生じる場合、急性の医療状況(例: 脳卒中、心筋梗塞など)の可能性が考えられるため、すぐに119番などの緊急連絡先に連絡すること。
  • 薬の影響で嘔吐が引き起こされる場合もあるので、最近服用した薬や変更があったかどうかを確認する。

緊急状況を除いても、高齢者の嘔吐は必ずしも軽視すべきではありません。背景となる病態や原因を早期に把握し、適切なケアや対応を行うことが重要です。

特別養護老人ホームなどの介護施設で嘔吐に遭遇した際の適切な対応は非常に重要です。以下は嘔吐処理の基本的なステップと注意点を示しています。

  1. 安全確認:
  • まず、利用者の安全を確保してください。嘔吐した場所が滑りやすくなっている場合があるので、転倒のリスクを最小限に抑えるように注意します。
  1. 利用者の体調確認:
  • 嘔吐の原因や背景を確認します。具体的な症状や前触れ、摂取した食事や薬などの情報を収集します。
  • 必要であれば医師の診察を受けることを検討します。
  1. 嘔吐物の除去:
  • 防護具(手袋、マスク、エプロンなど)を着用します。
  • できるだけ多くの嘔吐物をペーパータオルや使い捨ての布で取り除きます。
  • 大きな塊はビニール袋などに入れて処分します。
  1. 清掃:
  • 嘔吐物が付着した部分を水や中性洗剤で拭き取ります。
  • 消毒剤を使用して該当箇所を適切に消毒します。これにより、感染症の拡大リスクを低減できます。
  1. 再度の安全確認:
  • 清掃後、床や家具が滑りにくく、安全な状態であることを確認します。
  1. 廃棄物の処理:
  • 使用したペーパータオルや布、手袋などは専用のゴミ袋に入れて処分します。
  • できるだけ早めに外に出して、適切に廃棄します。
  1. 自身の手洗い:
  • 手袋を取り外した後、しっかりと手を洗い、消毒します。
  1. 報告・記録:
  • 嘔吐の事実や処理の方法、利用者の状態などを施設の記録や報告書に記載します。

注意点:

  • 嘔吐物は感染症のリスクがあるため、触れる際は常に手袋を着用し、適切な消毒を行うよう心掛けてください。
  • 嘔吐の原因が感染症である可能性がある場合、他の利用者やスタッフに感染が広がらないよう対策をとります。

以上の対応を通して、利用者の安全と施設内の衛生状態を維持することが重要です。

  1. 状況のモニタリング:
  • 利用者の健康状態や様子を継続的にモニタリングします。再度の嘔吐や他の症状が現れるか、症状が悪化する場合は迅速に対応が必要です。
  • 特に高齢者の場合、脱水症状が起きやすいため、水分補給のサポートや脱水症状のサインを確認することが重要です。
  1. 情報共有:
  • 他のスタッフや関連部門との情報共有を行います。これにより、利用者のケアやサポートがスムーズに行われるようになります。
  • 例えば、食事提供部門には摂取できる食事の制限や特別な対応が必要かを伝えるなどの連携が考えられます。
  1. 対応の評価と改善:
  • 嘔吐の事例に対する対応を振り返り、適切に行えていたかを評価します。
  • 必要に応じて、今後の嘔吐対応のガイドラインや手順を見直し、改善点があれば修正します。
  1. 教育と研修:
  • 新人スタッフや定期的な研修を受けていないスタッフに対して、嘔吐の対応方法や感染症のリスク管理についての教育を行います。
  • 実際の事例をもとに、ワークショップやロールプレイを行い、対応能力を向上させることも有効です。

注意点(続き):

  • 特別養護老人ホームは、多くの高齢者が共同で生活しているため、1人の利用者の健康問題が他の利用者に影響を及ぼす可能性があります。そのため、個々の状態だけでなく、全体の健康状態や安全性にも注意を払うことが求められます。
  • 嘔吐の原因となる感染症の中には、エアロゾルなどで感染するものもあるため、施設内の換気の良好な状態を保つことも大切です。

以上のように、特別養護老人ホームでの嘔吐対応は一連のプロセスとして捉え、利用者の健康と安全を最優先にしながら、適切な対応を行うことが重要です。

この記事を書いた人
taffyyamada

東京都生まれ。長野県在住。
公認心理師、介護福祉士、心理カウンセラー、占い師。本ブログでは、特別養護老人ホームでのユニットケアを3つのアプローチ(物理的なアプローチ・システムからのアプローチ・関わりからのアプローチ)に分類し、主にご入居者様、ご家族様、介護職員、多職種連携など人との関わり、心理からのアプローチで発信しています。

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